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T. S.

ハンブルク・ハーフェンシティで必見の「ユニリーバ・ハウス」


ドイツ北部最大の都市であるハンブルクでは、現在「ハーフェンシティ(HafenCity)」と言われるエルベ川沿いの広大な地域の再開発プロジェクトが進められています。この都市開発は、すでに2001年から始まっており、20年30年という長い時間をかけて街の快適性や環境面などで21世紀を代表するような最先端の再開発が現在でも進行中であります。この地区内には多くの魅力的な建築が建てられていますが、その中でも取り上げたい建築の1つが、ユニリーバのドイツ・オーストリア・スイスの本社ビルです。今回は、この建物と隣接するマルコ・ポーロ・タワーについて見ていきましょう。

このハンブルクにあるユニリーバ本社ビルとマルコ・ポーロ・タワーを設計したのは、世界的にも有名なドイツのシュツットガルトを拠点に活動しているベーニッシュ設計事務所でした。2009年に本社ビルが、翌年にマルコ・ポーロ・タワーが完成して以来、建物周辺からはエルベ川のきれいな景色が臨めたり、巨大クルーズ客船がすぐ近くに停泊するため、地元の人々だけでなく、多くの観光客も訪れる人気の場所となっています。

ベーニッシュ設計事務所は、これらの建物を設計するにあたって、「持続可能性」というキーワードをもとに、環境に配慮しながら建物を利用する人々の快適性が保たれるような21世紀型の建築を目指しました。この「持続可能性」というのは、ハーフェンシティの再開発プロジェクト全体の理念でもありますが、ユニリーバ本社ビルはハーフェンシティが新たに設立した「ハーフェンシティ・エコラベル」という建築物の環境的側面のランク付けで見事金賞を受賞しました。

この建物において、そうした環境的側面で最も注目されるのが、ユニークなファサードデザインでしょう。これは、一層のフィルムファサードとなっており、この部分が日光や強風といった外的環境から建物やオフィス空間を守る役割を果たしているのです。オフィス空間においては、さらに、優れた蓄熱性能を持つコンクリートの天井を使って室内を冷却するシステムが導入されているなど、様々な側面から建物の二酸化炭素消費量を削減する試みがなされています。これによって、この建物の日中の一次エネルギー消費量は、100 Kwh / (m2・年)以下に抑えられているそうです。

このユニリーバ本社ビルは、環境に配慮した優れたデザインだけでなく、エルベ川沿いにある階段広場のような人々が気持ちよく過ごせる魅力的な空間も注目です。建物の中央に位置するアトリウム空間もその1つでしょう。ガラス張りのアトリウムの天井から燦々と太陽の光が差し込んでくるため、周囲のオフィス空間は常に明るく風通しが良く、快適な環境下で仕事に取り組める空間となっています。また、アトリウムに傾斜路や階段、ブリッジなどの街中にある要素が存在していることで、ここで人と人が出会い、触れ合い、話し合い、単調になりがちな日常や仕事の中に刺激がもたらせるような空間にデザインされているそうです。この1階部分は外部の人々も入れるようになっており、魅力的なアトリウム空間を体験できるだけでなく、ユニリーバのカフェやショップなども利用できるようになっています。

このオフィスビルに隣接する17階建ての高層ビルもベーニッシュ設計事務所が手掛けました。この建物は「マルコ・ポーロ・タワー」と名付けられ、58の住戸からなるマンションとなっています。この建築で最も目を引くのが、ねじって形作られたような建物の形態でしょう。実際にこの建築は、それぞれの階が数度ずつ回転しています。

これは、各住戸に直射日光が差し込まないように、上の階の床を庇の役割を果たすように考えられた所から来ているようです。これは、直射日光によって室内温度が急激に上昇することを防ぐだけでなく、カーテンなどで日除けをする必要がないことから、どの住戸からでも常に周囲に広がる素晴らしい景色を臨めることにもつながっています。2017年にはハンブルクの新しい音楽堂「エルプフィルハーモニー」が完成し、ハーフェンシティの中でも一際人気の観光名所となっていますが、今回のオフィスビルやマンションも見ていきながら、ここで生活する人々の暮らしを体験してみてはいかがでしょうか。


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