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市民に開放されている珍しい大使館建築「北欧大使館」

March 5, 2019

今回紹介するのはベルリンにある「北欧大使館」です。名前の通り、この施設は北欧の国々(デンマーク・フィンランド・アイルランド・ノルウェー・スウェーデン)の大使館が集まる建物で、建物の一部は一般に開放されているという珍しい施設です。大使館と言えば、塀で囲まれ警備の厳しい閉鎖的な印象があると思いますが、ここはそうしたイメージとは正反対の明るく開かれた場所となっているのです。それでは、この北欧大使館が建てられた経緯や建築について詳しく見ていきましょう。

 複数の大使館が一緒になって1つの施設にまとまるということは、何もない所に生まれるわけではなく、やはり何かしら共通するものが必要になります。今回のデンマーク・フィンランド・アイルランド・ノルウェー・スウェーデンといった北欧の国々においては、それは「北欧」という地域的な特徴もありますが、それによる言語や歴史、価値観といったものが全く同じとはいかないまでも、通じるものがあるといった意味で共通のものがあることが大きかったようです。こうしたことがこの世界的にも珍しい大使館の複合施設のプロジェクトを可能にしたのです。もちろん、そうしたことはこの大使館が初めてではなく、長きに渡って経済的にも文化的にもこれらの国同士で良好な関係の中、さかんに交流があったことも、この大使館プロジェクトを実現する大きな要因となったでしょう。

 北欧大使館を計画する建築家は、1995年に行われた国際建築コンペによって決められました。そこで、オーストリア人建築家アルフレッド・ベルガーとフィンランド人建築家ティナ・パークキンネンの建築事務所がプロジェクトを指揮することが決まりました。彼らは、5つの大使館を敷地内に地図上と同様に配置しながら、北海やバルト海を水盤で表しました。それに加えて、「Felleshus」という名前の一般にも開放されるコミュニティハウスを計画し、淡い緑色の銅を使って帯状に形づくりながら、それをファサードとして全ての建物を取り囲みました。この全体計画と「Felleshus」の建物の設計はアルフレッド・ベルガーとティナ・パークキンネンの建築事務所が手掛けましたが、それ以外の各国の大使館建物は各国の建築家が1つ1つ担当しました。

 

 「北欧大使館」として建物にまとまりを生み出すために、各国大使館への経路にもなる「Felleshus」はもちろんですが、それに加えてファサードとなっている高さ15mの銅の帯も重要な役割を担っています。このファサードは、大使館の建物群をまとめるというだけでなく、ベルリン中心部におけるスケールの大きな周辺環境の中で、1つ1つの建物では都市景観としてスケールが小さすぎてしまうところを、高さ15m長さ230mの帯状のファサードを使って、1つの大きな「北欧大使館」として周辺の都市スケールに適した外観を生み出す働きも果たしています。

 最後に、コミュニティハウス「Felleshus」について見ておきましょう。上でも述べたように、この建物は一般にも開放されており、誰でも訪れることができるようになっています。ここは、展示や映画上映会、コンサートや会議など様々な用途で使うことができるようになっており、いわゆる大使館のイメージとは違って人々が自由に出入りする開放的な場となっています。建物の外壁や室内の壁には木材が多く用いられており、ガラス張りの正面玄関や打ち放しコンクリートの躯体と合わせて、北欧デザインが感じられるモダンで温かみのある建物に仕上げられています。ちなみに、「Felles」はデンマーク語で共同体といった意味を表します。デザイン面と機能面の両方の意味で、全体と個が上手くかみ合っている非常に優れた建築ではないでしょうか。

 

 

 

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