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(ベルリンの建築)水と緑に囲まれた曲線屋根の建築「世界文化の家」

最終更新: 3月9日

ブランデンブルク門のすぐ近くにある国会議事堂の屋上からは、テレビ塔やソニーセンターといったベルリンにある特徴的な建築物を臨むことができます。その中で、西側にあるティアガルテンの森の中に、曲線の屋根を持つ建物も見えてきます。これが、今回紹介する「世界文化の家(House of World Cultures)」です。しかし、なぜこのような形をした建物がこのような森の中にできたのでしょうか。今回は、この世界文化の家について紹介していきましょう。

この建築が建設されるきっかけとなったのが、1957年にベルリンで開催された国際建築展でした。この展覧会の1つの建物として、アメリカ人建築家ヒュー・スタビンスにより建てられたのが世界文化の家でした。冷戦真っ只中であったこの時の国際建築展全体の目的として、西側の体制の優位性を東側に示すということがありました。そのため、この建築においては、美しい曲線で構成された屋根形態によって、自由主義の意味合いを表そうとしたことが見て取れます。また、ここでは人工的に丘を造り、その上に建物を建設することで、東ベルリンからより見えやすいような仕掛けも施されたようです。

ヒュー・スタビンスは、横浜ランドマークタワーの設計に関わったことでも知られていますが、この世界文化の家ではやはり湾曲する屋根のデザインにこだわりがあったようです。彼は、「完全に自由」という概念でもって、屋根のデザインの自由性はもちろんのこと、柱など最小限の構造体によって、空間としても自由度の高い建築を目指しました。実際に、彼の最初の案では、屋根はたったの2点で支持されていました。しかし、それは構造的にも予算的にも大きな屋根を支えるには厳しいものであったため、実際には支えを増やすかたちで建てられました。

それでも、屋根の一部が落下するという事故が起こってしまいました。1980年、一部の屋根が落下し、下にいたジャーナリストがその下敷きになってしまいました。落下の原因は、設計・施工ミス、そして、それが引き起こした鉄筋の腐食による断裂であることが事故後の調査で分かりました。その後の改修では、屋根の安全性がしっかり保たれるように構造や施工方法を改善しながらも、もともとの屋根の湾曲する形などはそのまま引き継がれました。

最後に、この建物の名前ともなっている「世界文化の家」について紹介しておきましょう。これは、建物の名称であると同時に、文化交流等を目的とする機関を表すものでもあります。この組織は、主にヨーロッパ以外の国々の文化や芸術を紹介しながら、ドイツとそうした国々のつながりを文化交流を通じて深めていく活動をしています。

そうしたことから、ここではアート展示やコンサート、映画鑑賞会などが催されています。ここは、ティアガルテンの森に囲まれながら、シュプレー川が臨める素晴らしい立地でもありますので、こうした贅沢な環境の中で、この建築はもちろん、ここで開催される催し物も楽しんでみてはいかがでしょうか。


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