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ナチス政権下で静かに戦い続けた人、オットー・ヴァイト盲人作業所博物館


年中観光客やおしゃれな若者達で賑わうハッケシャー・マルクト。そこでも特に人気のハッケシャー・ヘーフェですが、この8つの中庭を囲む職住複合建造物の一角に、オットー・ヴァイト盲人作業所博物館はあります。

賑わう界隈の中でもひときわ異なった雰囲気で静かに佇む入口を抜け、建物の2階に進みます。今ではナチスドイツへの抵抗運動を記録する「オットー・ヴァイト盲人作業所博物館」となっているこの建物には、かつてブラシ製造作業所がありました。  

この作業所で実際に作られていたブラシ

第二次世界大戦開戦直後、ナチス政権が反ユダヤ政策をすでに推し進めていた1940年、自身も目が不自由なオットー・ヴァイト氏という一人のドイツ人が、妻であるエルゼさんの協力とともに、ブラシ製造作業所をこの場所(ローゼンターラー通り39番)に作りました。

当時ブラシや箒作りは視覚障害者の代表的な仕事であったため、ヴァイト氏は視覚や聴覚障害のあったユダヤ人30人あまりを自身のブラシ製造作業所の従業員として雇用しました。

ヴァイト氏は従業員やその家族のために仕事だけではなく住居や食料を提供し、時には彼らがナチスドイツに連行されないようにするために必要な書類を偽造しました。

この作業所の奥、そして倉庫に、従業員でもあるユダヤ人たち複数を匿い、彼らががユダヤ人強制収容所に連行されないように秘密警察に賄賂を支払うなどしていましたが、その努力もむなしく匿っていた従業員たちはのちに密告者によりナチスに発見されてしまいます。

ヴァイト氏が一部の従業員を匿っていた部屋

従業員達が強制収容所に連れ去られてもなおヴァイト氏は諦めず、収容所に食料を送ろうと試みるなど彼らを助ける道を探っていましたが、懸命の努力にも関わらず、ヴァイト氏は3人の従業員しか救い出すことができませんでした。

戦争に飲み込まれた時代に、自分の善意に従って勇気を持ち続け人々に優しさと希望を与え続けたヴァイト氏。彼の勇気の舞台となった場所を訪れてみてはいかがでしょうか。

展示されている、ヴァイト氏と従業員達の集合写真

●オットー・ヴァイト盲人作業所博物館 (Museum Blindenwerkstatt Otto Weidt)

住所:Rosenthaler Str. 39, 10178 Berlin

最寄駅: 「Hackeschermarkt」駅下車、徒歩1分

営業時間:毎日:10:00~20:00 (12月24日は休館日)

入場料: 無料

https://www.museum-blindenwerkstatt.de/en/first-of-all/(ドイツ語、英語)

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